Plan・Do・See(PDS) リニューアル後のサンシャイン水族館に初めて伺いました。「水族館って、こんなに考えられている空間だったっけ?」と感じて、正直すごい!っていう感想です。私は舞台を鑑賞するのもすごく好きで、共通したものを感じたんです。

中村 そう言っていただけるのは、うれしいですね。

PDS もともと私はウェディングプランナーだったので、人の気持ちの緩急とか、1日の中でどう過ごしてほしいかを考えながら結婚式を演出していました。同じことが水族館の中でも表現されていたので、夢中になって見てしまいました。

中村 水族館って、長らく動物園の水版のイメージだったでしょう? すると、みんな頭の中で「子どもが行く所」になっちゃう。それに、古いとどうしても水の技術がないところで作るから湿気もすごくて、水に濡れるベタベタの場所。特に女性は敬遠する場所だったんだよね。オシャレして行けないし。

PDS この水族館は違いますけど、デートで行くっていうイメージはあまりないですね。

中村 水族館というのは動物園と違って、どちらかというと観光地にあるから団体の観光客が行く場所のイメージもあるでしょう。

池袋・サンシャイン水族館は、2011年「天空のオアシス」をコンセプトに全面リニューアル。その後も施設の刷新は続いた。
池袋・サンシャイン水族館は、2011年「天空のオアシス」をコンセプトに全面リニューアル。その後も施設の刷新は続いた。

PDS ちなみに、中村さんは昔から海の生物がお好きだったんですか?

中村 それがね、別段好きじゃなくて。魚は特に好きじゃなかった。いや、どちらかと言えば「嫌い」だったかも。

PDS ええ〜っ!?(動揺)

中村 釣りに行っても俺、1匹しか釣れたことがないからね。川で魚を突こうと思ったら、見事に溺れたしなぁ。

PDS (笑)。生まれ育ったのは、海のそばではなかったんですよね。

中村 そう、三重県の嬉野ね。松阪のすぐ近くです。

裏道は必ず見つけられる

PDS 小学校の頃は、どんな少年だったんですか?

中村 ガキの頃からモテたい子やったんです。幼稚園のときから。

PDS 男の子にしては、かなり早い芽生えですよね。

中村 人気のある子は足が速いんです。僕は足が遅いから、毎日走る練習をしていたの。そうしたら、母親が親戚に「この子は足が遅いもんで、いつも走って練習しとんのよ」と言ったら、「そうか、足速くなりたいんか。ええ方法があるぞ」って。「生卵を飲んだら足が速なんねん」っていうの、おじちゃんが。

PDS ウソだぁ(笑)

中村 ニワトリを飼っているから、生卵だけはふんだんにあってね。運動会の日に、今日こそと思って2個飲んだの。そうしたら、お腹を壊しちゃってさ(笑)

PDS あらら、それはツラい。

中村 マンガみたいやけど「よーいドン」でトイレに行きたくなって。帰ってきたら、もうみんな走っとんねん。その場から逃げようと思ってんけど、先生に見つかって「何しとった?早よう行きない」って。最初から1人なんよ(笑)そうしたら、めちゃウケて。

2017年には屋外エリアが一新。横幅12mある水槽を頭上に配置した「天空のペンギン」コーナーがお目見えした。
2017年には屋外エリアが一新。横幅12mある水槽を頭上に配置した「天空のペンギン」コーナーがお目見えした。

PDS へえ〜。

中村 もう、ウケまくり。「あんた、何考えとったん。狙ってやってんの?」って言われるし(笑)。どんだけ努力しても足は速くならんけど、足が遅いのを思いっきり遅うしたらウケるやん!って思って。

PDS すごい発想の小学生。

中村 九九を覚えるときも、すごい記憶力が悪いことに気づいて。それまで結構賢いと思っててん。本が好きでいっぱい読んでたから、俺はどえらい賢いと思ったのに、暗記力が致命的に弱いんよ。でも4の段で「4かける5」までいったときに気がついたわけ。「あっ、ちょっと待てよ」って。

PDS もしかして、「そこから先はひっくり返せばいいじゃん」って?

中村 その通り。そこから半分に線を引っ張って、これだけ覚えてやろうって。半分になると、もう絶対にみんなと同等になれる。いや、勝てる。1週間後に先生が「全部覚えた人は?」って言ったときに、「はい」って一番最初に手を上げとったもんな。

PDS 頭いいですよ!

インタビューを行ったのは、屋外エリアを見渡せる「カナロアカフェ」。21時までオープンする都市型水族館は、夜の雰囲気もバツグン。
インタビューを行ったのは、屋外エリアを見渡せる「カナロアカフェ」。21時までオープンする都市型水族館は、夜の雰囲気もバツグン。

中村 そのときからですね。自分の何が弱点なのかが分かると、裏道を見つけられるということをなんとなく理解した。

PDS おぼろげに?

中村 そう。今ならば「弱点を使うほうが絶対に得なんだ」っていうことを知ってます。長所で勝負をしたら、絶対に損なんです。

PDS と言いますと?

中村 例えば、小学校で一番足が速い子が「よし、オリンピック出るぞ」って思ったら、どえらい険しい道のりになるわけ。すでに隣の小学校にはもっと速い子がおるかも分からんよ? その先、世界まで行かなくてはあかんわけだけど、絶対に無理なんよ。日本人はまだなかなか100mで10秒切られへんでしょ。

PDS 確かにそうですね。

中村 世の中的には、足が遅いのは短所っていうことになっているでしょう? 常識的にみんながうらやましいと思うものが長所なんです。そんなものはみんなが目指しているから、ライバルが多くなるだけなんです。特に分かりやすい長所は絶対にダメ。最後には天才が現れるから。

PDS そうかー(笑)

中村 それなら、短所で勝負。自分の短所を伸ばそうなんて人はいないから(笑)

PDS できれば、見ないふりをしたいです(笑)

中村 だから、そこで成功したら、絶対にすぐに一番になれるんです。よく短所を克服しなさいって言うよね。社会人的には。

PDS はい、言われてきました。

中村 たとえ克服したって、それができる奴には絶対にどこまで行っても勝てない。そんな時間があったら、違うことをしたほうが得なんです。弱点をいかに武器にするか。それと、弱点をちゃんと認識して裏道を見つけるということ。それが僕の生き方の原点なんです。

PDS なるほど。

頭上でゆったりと泳ぐアシカ。まるで空を飛んでいるように見える。
頭上でゆったりと泳ぐアシカ。まるで空を飛んでいるように見える。

中村 裏道は必ずあるんですよ。なぜかっていうと、特に日本は常識というものがすごく多いので、常識の裏に隠されたものが必ずあるんです。そっちで行かれるとみんなが困るから、常識っていうのをみんなが作っているのね。